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なぜこの形?ダムの型式と構造の違いをやさしく解説

  • ダムの型式はどんな種類があるの?
  • なんでこのダムはこの型式で建設されたの?
  • コンクリートと岩で造られたダムの違いとは?

ダムカードを手にしたとき、「重力式コンクリートダム」「アーチ式」「ロックフィル」という文字を見て、「これって何が違うの?」と思ったことはありませんか?

ダムはどれも「水をせき止める構造物」ですが、型式によって形も材料も、建てる場所もまったく異なります。その違いには、地形・コスト・目的といった、それぞれに合理的な理由があるからです。

この記事では、日本に存在する主要なダムの型式を、「コンクリートダム」「フィルダム」などの、グループに整理して解説しています。

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ダムカードでもわかるダムの型式

ダムカードは、ダムの基本情報がコンパクトにまとめられたミニ型パンフレットです。そのなかには、型式の記載があり以下の表記になっています。

ダム型式の表記の例

  • G(重力式コンクリートダム)
  • A(アーチ式コンクリートダム)
  • R(ロックフィルダム)

型式とは、ダムの堤体がどんな材料でできているか、どのような構造で水圧に耐えているかを分類したものですね。

ダムは、「どこに建設するか」「なに目的のために建設するか」「予算や工期をどう確保するか」という条件のもとで設計されます。型式の違いは、これらの条件に対する最適解の違いにもなります。

型式を知ると、「なるほど、この場所にこの形が選ばれた理由がわかる」という発見があるでしょう。ダム巡りやダムカード収集が、グッと深みを増す視点にもなりますね。

≫ダムカードの配布場所はこちらから

ダム型式の分類

コンクリートダム・重力式コンクリートダム
・アーチ式コンクリートダム
・中空重力式コンクリートダム
・バットレスダム
フィルダム・ロックフィルダム
・アースダム
複合ダム(コンバインダム)・重力式ダム + ロックフィルダム
・重力式ダム + アースダム
など

コンクリートダム

重力式コンクリートダム:日本で多い型式のひとつ

五十里ダム
重力式コンクリートダム(栃木県:五十里ダム)

日本の全てのダムのなかで、約35〜45%あるとされる比較的多い型式のダムです。ダムの重さで水圧に対抗する、シンプルな構造が特徴とされています。

重力式コンクリートダムを横から断面で見ると、上が細く下が太い三角形の形をしています。この形には、設計上の理由があると考えられています。

ダムの下部には、上に積み重なったコンクリートの重さと大量の水の圧力が集中します。そのため、下に行くほど厚く作って重量を増やし、ひっくり返されないようにしています。上流側から押してくる水の力に対して、ダム自身の重さでしっかりと踏ん張るイメージだと説明されることもありますね。

重力式ダムは、堤体が真っすぐの直線型と、ゆるやかにカーブしている曲線型もあります。

≫重力式コンクリートダムはこちらから

アーチ式コンクリートダム:薄くて強い曲線美

鳴子ダム
アーチ式コンクリートダム(宮城県:鳴子ダム)

アーチ式コンクリートダムは、上空から見るとカーブを描いた形をしています。堤体の厚さは重力式に比べて比較的薄く、美しい景色を生み出す型式のひとつです。

アーチ式ダムは、水圧をダム堤体の曲面に沿って、両岸の岩盤へ伝えるという仕組みにあります。

橋のアーチを、イメージしてみましょう。アーチは上からの力を横方向に分散させ、両端の支点で受け止めます。アーチ式ダムも同じような原理で、水の押す力をダム堤体ではなく、両壁の岩盤で支える設計とされています。

岩盤が力を引き受けてくれるおかげで、重力式ほど分厚くする必要がなく、使うコンクリート量を大幅に削減できるとされていますね。

アーチ式ダムは、ドーム型・放物線型・円筒型などさらに分類されます。複数のアーチが連なる、マルチプルアーチダムもあります。

≫アーチ式コンクリートダムはこちらから

重力式アーチダム:重力式とアーチ式のあわせ技

二瀬ダム
重力式アーチダム(埼玉県:二瀬ダム)

重力式アーチダムは、上空から見るとアーチ状に湾曲しており、アーチの形で水圧を両岸の岩盤に分散させています。同時に、ダム自体の重さでも安定を保つため、「アーチダムの効果」と「重力式ダムの安定性」の両方を活かした型式とされています。

重力式ダムよりもコンクリート量を少なくするために、アーチのように湾曲した形で水圧を両岸の岩盤に伝えるように設計したい。しかし、アーチダムほどがっちりとした岩盤はないし、それほど強い岩盤は必要ない、ちょうど中間の谷幅に適したダムの型式とされています。

重力式に比べてコンクリート量を節約できて、アーチ式ほど岩盤の条件が厳しくないという、両方のダムのいいとこ取りが可能とされています。ただ、現代では新しく建設はされません。

日本では建設された例が少なく、約12基ほどといわれています。

≫重力式アーチダムはこちらから

中空重力式コンクリートダム:内部が空洞のダム

内の倉ダム
中空重力式コンクリートダム(新潟県:内の倉ダム)

中空重力式コンクリートダムは、見た目は重力式ダムと似ていますが、中が空洞になっているのが特徴です。

戦後の日本でダム建設が本格化した1950〜60年代には、材料費や山間部での運搬・施工条件が課題のひとつになっていました。そのため、少ないコンクリートで重力式としての安定性を確保する工夫として、この方式を採用したとされています。

内部を空洞にすることで、コンクリートの使用量を減らしつつ、必要な安定性を確保。さらには、ダムの空洞は点検や管理のための、通路としても使われているそうですね。

現在、日本に残る中空重力式コンクリートダムは約13基。新潟県の内の倉ダムを最後に、新しく建設されてない珍しい型式のひとつです。

≫中空重力式ダムのはこちらから

バットレスダム:支壁で支えるレアな型式

丸沼ダム
バットレスダム(群馬県:丸沼ダム)

バットレスダムは、日本に現存する数が非常に少ない超希少な型式です。上流側にある水をせき止める板(遮水板)を、斜めに配置した複数の支壁で後ろから支える構造になっています。

中空重力式ダムと同様に、コンクリートの使用量を減らす目的で考えられたとされています。群馬県の丸沼ダムなど、数基のみが残る珍しい型式のひとつですね。

≫バットレスダムはこちらから

フィルダム

ロックフィルダム:岩を積み上げて作る山のようなダム

綱木川ダム
ロックフィルダム(山形県:綱木川ダム)

ロックフィルダムは、岩や土を積み上げて建設するダムです。堤体の外観は台形の山のような形で、傾斜が緩やかなのが特徴です。

岩石は水を通しやすいため、岩を積むだけでは水をせき止められません。そのため、ロックフィルダムは、堤体を複数のゾーン(層)に分けて設計されます。

堤体の中央部には、粘土などを詰めたコア(遮水ゾーン)を設け、ここで水の浸透を防ぐとされています。コアの外側にはフィルター層(コアの細粒材が流出しないよう守る層)、さらに外側には岩石を積んだロック層という構造になっています。

多層構造により、岩という水を通す材料を使いながら、高い遮水性と安定性を両立しています。ロックフィルダムの表面に敷かれている岩は、リップラップと呼ばれます。色や大きさなど、ダムによって違いがありますね。

ロックフィルダムには、中央で遮水する中央遮水壁型の他にも遮水するタイプがあります。コアが斜めになっている傾斜型や、表面で遮水するアスファルトフェイシングやコンクリートフェイシングなどがあります。

≫ロックフィルダムはこちらから

アースダム:土を主な材料とした古い型式のひとつ

山ノ入ダム
アースダム(福島県:山ノ入ダム)

アースダムは、土を主な材料として堤体を盛っていくダムです。最初に作ったダムの多くはこの型式とされ、数千年の歴史を持つ古い型式のひとつと言われています。

日本のアースダムは農業用のため池などに、比較的多くあります。なかには、発電用のダムなどの場合もありますね。

アースダムは、中央で遮水する中央遮水壁型の他にも遮水するタイプがあります。コアが斜めになっている傾斜型や、堤体のほとんどが土で盛られた均一型もあります。

≫アースダムはこちらから

アスファルトフェイシングフィルダム

深山ダム
アスファルトフェイシングフィルダム(栃木県:深山ダム)

岩や土を積み上げた、フィルダムの種類ひとつ。堤体の上流面をアスファルトで舗装して遮水ているダムです。「Asphalt Concrete Faced Rockfill Dam(ACFRD)」と、英語で呼ばれることもありますね。

≫アスファルトフェイシングフィルダムはこちらから

コンクリートフェイシングフィルダム

野反ダム
コンクリートフェイシングフィルダム(群馬県:野反ダム)

岩や土を積み上げたフィルダムの種類ひとつ。堤体の上流面をコンクリートで舗装して遮水ているダムです。「CFRD(Concrete Face Rock-fill Dam)」と、英語で呼ばれることもありますね。

≫コンクリートフェイシングフィルダムはこちらから

複合ダム(コンバインダム):地形に合わせた組み合わせ技

大川ダム(福島県)
複合ダム(福島県:大川ダム)

複合ダム(コンバインダム)は、ひとつのダムの中に複数の型式を組み合わせて建設したダムです。例えば、「ダムの中央部分は重力式、右岸はロックフィルダム」のように、堤体の場所によって型式が異なっています。

谷の中央部の岩盤は頑丈だが、両岸は軟弱。あるいは地形が複雑で一つの型式では対応しにくいそんな条件のとき、複合ダムが選ばれるとされています。

ダムカードには複合ダムの場合、「G + R(重力式+ロックフィル)」のように複数の型式が記載されることがあります。「なんで2つ書いてあるんだろう?」と思ったときは、複合ダムを思い出してください。

≫複合ダム(コンバインダム)はこちらから

台形CSGダム:現地の材料を有効活用したダム

台形CSGダムは、比較的新しい型式のダムです。「CSG」は「Cemented Sand and Gravel」の略です。建設現場周辺で採取した砂や岩石などを、セメントと混ぜて固めた材料(CSG材)を堤体に使います。

ダムの形や水圧の受け方は重力式ダム、CSG材はフィルダムのような現地材料を使用。コスト削減や環境負荷の低減など、新しく合理化されたダムとされています。

堤体の断面が台形になることから、この名称がつけられています。

まとめ:型式を知るとダム巡りがもっと楽しくなる

この記事では、日本に存在する主要なダムの型式を、「コンクリートダム」「フィルダム」などの、グループに整理して解説しました。

最後に、型式のポイントを簡単に振り返ってみましょう。

  • コンクリートダム:重さや形で水を支える(重力式・アーチ式・など)
  • フィルダム:土や岩を積み上げて水をせき止める(ロックフィルダム・アースダムなど)
  • 複合ダム:重力式とロックフルダムなど、2つを組み合わせたもの
  • 台形CSGダム:新しい工法で建設されるダム

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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